歯周病治療
歯周病治療について
歯周病は、歯垢にひそむ歯周病菌により歯ぐきが炎症を起こし、出血や腫れなどの症状が起こる病気です。日本人の成人のうち約8割が感染している、もしくは予備軍だと言われており、実は日本人が歯を失う原因第1位でもあります。
歯周病は、虫歯同様、初期段階はほとんど自覚症状がありません。気づかぬうちに進行し痛みが出てきたころには、歯を支えているあごの骨(歯槽骨)が溶け、歯がグラグラする状態まで悪化してしまっています。そうならないよう、痛みが出る前、「歯ぐきが腫れる」「出血する」といった症状が出た時点で、早めに受診しましょう。
かんたん歯周病30秒チェック
以下の当てはまる項目にチェックを入れてみましょう。当てはまった項目の数が多いほど、歯周病を発症している可能性が高くなります。
- 起床後、口の中がねばついている
- ブラッシングのとき、歯ぐきから出血することがある
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
- 口臭がひどくなった気がする
- 硬いものを咬むと歯が痛い
- 歯ぐきが腫れている
- 歯ぐきが赤紫色になっている
- 歯ぐきが下がって、歯が長くなったように見える
- 歯ぐきがムズムズする
- 歯ぐきから膿が出ている
- 歯を指で押すとグラグラと動く
あなたの歯周病のリスクは?
歯周病の進行と治療
軽度歯周炎
歯ぐきに軽い炎症が起こっている状態で。歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)が深くなり、歯ぐきが腫れたり出血したりします。痛みはまだありません。
治療法
ブラッシング指導 |
歯科衛生士が、口腔内の状態に合わせて歯ブラシの選び方やブラッシング方法を丁寧にアドバイスします。 |
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スケーリング |
スケーラーという専用器具を使って、歯や歯の根元に付着した歯垢や歯石を除去します。歯周病菌のすみかである歯垢や歯石を除去することで、歯周病を改善できます。当院では痛くないスケーリングを心がけています。 |
ルートプレーニング |
歯周ポケットの奥深くにこびりついた歯石や歯垢を、「キュレット」という専用器具を使って除去します。処置後に歯の表面をなめらかにし、汚れの再付着を予防します。 |
中等度歯周炎
歯を支えるあごの骨が溶かされはじめる状態。歯がグラついたり、腫れや出血がひどくなったりし、強く咬むと痛みます。また、歯が浮くような違和感を覚え、口臭がきつくなることもあります。
治療法
フラップオペレーション |
スケーリングやとルートプレーニングだけでは治療効果が期待できない場合に行います。歯ぐきを切開して歯の根を露出させ、こびりついた歯石や感染した歯ぐきを除去します。 |
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遊離歯肉移植(FGG) |
歯ぐきの増強や歯周ポケットの回復のために行います。歯ぐきを切開して歯肉弁を作り、歯の根に移動させて歯ぐきを補強する治療です。 |
歯肉弁根尖側移動術 |
歯周病の進行により減ってしまった歯ぐきの粘膜を増強されるために行います。刺激などに強い丈夫な上あごの歯ぐきを切除し、歯ぐきが痩せている部分に移植します。 |
重度歯周病
あごの骨の大部分が溶かされ歯のグラつきが大きくなっている状態。このまま放置すると歯が抜け落ちてしまう可能性があります。歯のグラつきのほか、膿や歯の痛み、強い口臭などの症状もあります。
治療法
GTR法 |
骨の再生を促すために行います。歯周組織にメンブレンという特殊な膜を設置して、歯周組織が再生するスペースに歯肉が入り込んでしまうのを防ぎます。 |
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エムドゲイン(R)法 |
歯周組織にエムドゲインゲルという薬剤を注入し、GTR法同様に歯肉が入り込んでしまうのを防ぎ、歯周組織を再生させる方法です。 |
原因から治す歯周病治療
当院が歯周病治療で大切にしているのは、以下の3つ。
- 早期発見・早期治療
- プラークコントロール・生活習慣の改善
- 定期検診による経過観察
歯周病は治らない病気ではありません。そして防げない病気でもありません。原因は歯垢ですから「溜めない」「増やさない」ようにすれば、効果的な予防と治療につながります。
毎日のブラッシングで歯垢のない状態を保ち(プラークコントロール)、必要以上に糖分の含まれた食事を摂らず(生活習慣の改善)、定期検診でクリーニングとチェックを受け、異常が見つかったら早期発見・早期治療をする。これらを、歯科医師と患者さんが二人三脚の体制で実践することで、大切な歯を歯周病から守ることができます。一緒に根本的な治癒を目指しましょう。